誰かの役に立てることがやりがい
Profile
工学部応用化学科出身。2018年に帝人ナカシマメディカルのセンチュリーメディカル社買収に伴い転籍後、一貫して現職に携わる。
この業界を選んだ理由は何ですか?
医療業界を選んだのは、当時カテーテルやステントが着目されている時代で、技術的な革新や将来性、やりがいを感じ、興味を持ったのがきっかけです。
前職のセンチュリーメディカル社は医療機器専門の総合商社です。当時脊椎事業の製品開発プロジェクトに関わっていたこともあり、帝人ナカシマメディカルによる買収が決まった時、現在の部署に転籍する話をいただきました。以前から帝人ナカシマメディカルは自社で海外にも負けないような製品を研究開発から製造販売まで行なっているのを聞いていましたし、一緒ならば脊椎に関する良い製品が開発・製造できるのではないかと思い、転籍を決意しました。
どんな仕事をしていますか?
脊椎マーケティング部に所属し、製品の販売促進と製品開発に携わる業務を行っています。臨床の先生たちに現場で困っていることをヒアリングし、それに対して当社がどういった製品を提案できるかを具体的に話し、その結果を社内の設計製造スタッフに伝えるというのが主な業務です。先生たちは臨床のプロですが、モノづくりに関してはご存知ではない。一方、設計製造スタッフは臨床のことがわかりませんので、その橋渡しをするのが私の役目です。
私が扱う製品は、具体的には、脊柱管狭窄症などの脊椎疾患の患者さんを対象としたインプラント製品です。もともとこのマーケットは海外製品が大半を占めており、国産は数%程度です。海外製品は手術の際に使う周辺機器が整っているため、その点で機器を持たない当社が参入していくには苦労するところです。そこで症例を絞り、当社ならではの技術を生かした製品に特化することで他社にない当社独自の特徴ある製品を開発し、PRしています。例えば、日本の低侵襲手術における権威の先生と一緒に行ったもので、手術の際に指が入らない程度の小さい皮切でインプラントを設置できるというものなどがあります。
大変だったのはどんな仕事ですか? そこから学んだことは?
転籍後に手掛けた新製品の開発・販売までの道のりがとても大変でした。椎間板を取り除いた部分に使われる製品なのですが、もともと帝人ナカシマメディカルで10年かけて製品の基礎研究から開発を行っていたものを、脊椎事業を買収したことで一気に開発が加速しました。しかし、よくも悪くも、これまでまったく異なる文化を持つメンバーや環境で一つの製品開発プロジェクトを行うのには、仕事のやり方や考え方が異なるため、非常に苦労しました。最終的にはお互いの視点合わせやコミュニケーションを通じて新製品の意義、理念などを共有し、一体感を持って挑むことができました。このことから、相手を尊重し理解し合うことがいかに大切かを改めて学びました。
どんなところにやりがいを感じますか?
誰かの役に立てたと思えると時ですね。オペ室に入って手術中に先生や看護師さんの手順説明のサポートをするのですが、手術後に「今日のサポート、よかったよ」とか「この間の患者さん、術後の経過がよかったよ」という言葉を聞いた時は、先生だけでなく患者さんの役にも立っていると感じることができます。社内の打ち合わせでも、臨床現場を知っている私たちが営業の立場から設計製造担当者にアドバイスをすると、今まで気づいていなかった視点でおもしろいと喜んでもらえる時にも、やりがいを感じます。
会社について感じていることは?
当社はプロペラの事業から医療部門を立ち上げてきました。ゼロから立ち上げてきたという歴史があるせいか、個人の学びにしても製品開発にしても、新しいことへのチャレンジはどんどん許してくれるところがあります。それは他にはないメリットですし、会社の社風としてしっかり息づいていると思います。
社内は和気あいあいとしていて仲がいいという雰囲気ですね。転籍した時も、快く受け入れてくれたのが印象的でした。
自分の成長や変化を感じるエピソードはありますか?
人前で話すことは苦手で、特に顕著だった学生時代には今のような仕事は絶対したくないと思っていました。しかし、いろいろな人と仕事をし、人と話す機会が増えるごとに苦ではなくなりましたし、人と交流することで自分自身が多くのことを学べていることを実感します。今となっては人前で話すことが楽しいと思えるようになりました。
今後、どんなことを目指したいですか?
現在はあくまで一つの製品開発やプロモーションのレベルですので、将来的にはもう少し大きな視野でのビジネスを立ち上げられないかと思案中です。インプラントを必要とする患者さんは増え続けると言われますが、それに併せて社会保障関係費が増大することにより、メイン製品であるインプラントの償還価格は大きく引き下げられる可能性が高く、今までより厳しい状況になると思われます。今後は現在の主力であるインプラント製品に限定せず、例えば整形に関するマーケットで伸びしろのある分野に着手してはどうかと思っています。会社全体としても現在手がけている市場の枠組みだけにとどまらず、様々なバックグラウンドを持つ社員の経験、再生医療や製薬を手がけるグループ企業との意見交換などを通じて大きく飛躍できればと考えています。
後輩にどんなことを伝えたいですか?
苦手と思っていることでも、実は将来性があることかもしれません。好き嫌いをせず、チャレンジできるチャンスがあるならどんどん新しいことにチャレンジしてほしいと思います。当社にもそんな人に入ってきていただきたいですね。